ボイトレ山8合目キャンプ第5話

ボイトレ山8合目キャンプ第5

 

 ボイトレ登山も更なる高みにやって来た。

 それにつれて気圧は低くなる一方だけど、息を吸い込むパワーは自然に順応してアップするから、8合目に居る事が発声練習になっている。

 気合を入れるより順応意識で行動した方が、自然体を維持し易くなる。

 今回は息の出し入れを風船に託して練習してみるから、Bincoのザックからハート形のゴム風船を出してごらん。

 

B「あらっ!こんな形の風船あまり見たこと無いわ。Noriの事だから裏に何か訳がありそうね」

 

N「さすが裏読みが鋭い。今回は息と言う塊を大きくしたり小さくしたりする、やり方について考えてみるぞ。息は2つの肺で出し入れする単純な仕組みだけど、取り囲んでいる人体の構造が、呼吸をとても難しくさせている。ハート風船のくぼみの辺りには背骨が控えているよね。ここで背骨の働きをしっかり整理しておく必要がある」

 

B「背骨が息の中心にあると考えていいのよね。息を吸えばハート風船はどんどん背骨を締め付けていくのよね。声を出せば徐々に締め付けが緩んでくるのよね」

 

N「この時背骨は、滅茶苦茶狭い息の通り道と考えておくと、呼吸の無駄を小さく出来るからね。言い換えれば息の吸入時、背骨はハート風船のくぼみの奥の奥と考えると自然に背骨は強く圧縮されて通り道を狭くしてくれるよね。ハイトーンのきっかけになるからこの事は絶対忘れないでね」

 

B「息を吸い込むと背骨が、へそに向かって近づいて行くと思っていいのよね。その時ハート風船は徐々にパンパンに膨らむと考えていい訳ね」

 

N「その通り!この背骨の動きを呼吸力のみで操作できるようになると、ボイトレ山8合目の眺めは素晴らしく開けてくるからね。もちろん背骨の周りの筋肉群は脱力状態にする事を忘れないでね。もう1つ注意が必要なのは、背骨に絡みついている筋肉量は圧倒的に腹部側に多いので、腹部筋肉を意識する事が重要となる。即ち腹式呼吸の方が呼吸に有利に加勢してくれると言う訳だね」

 

B「腹式呼吸少しづつ分かって来たけど、一気には到着できないのよね。登山は一歩一歩行くしかないのね」

 

N「その代わり、周りの景色を楽しむ余裕が出来るからね。ボイトレ山は高みに上る程キャパの大きな呼吸力が備わってくるから、自分の声の豊かさを自覚できるはずだよ。Bincoもそういう高みに来てるからボイトレ山での呼吸生活、満更でもなさそうに見えて来たぞ」

 

B「でも腹式呼吸の仕組み今一、分からないわ。お尻から息を吸い込むとお腹にどんな変化が起きるのかがまだ分からないのよね」

 

N「そういう疑問とても素晴らしいよ。お尻から吸う息によって背骨が腹部筋肉にめり込む感じか、或いは腹部筋肉が背骨を抱きしめに行く感じがでるとOK!この時、背骨近辺に圧迫感が出てくると完成だね」

 

B「お尻の割れ目の閉まり具合がなかなか出てこないのよね。息の吸い込み方が甘いのよね。

もっと強い思い切った吸い込み練習してみるわ。登山道は迷っていないみたいだから、一歩一歩行くしかないわね。8合目の試練楽しんで見るわ」

 

N「背骨のすぐ後ろにある背骨と平行に接触している2本の、やや硬めの筋を活用できる様になると更に楽な吸い込み操作につながるから未知の楽しみが待ってるぞ。この筋操作も当然脱力が大前提だから忘れない様にね。

 2本で滑るスキー・2本のレールで走る電車・2本で使う箸・・・等、2本セットにすると安定する例に習うと、2本の筋を有効に使うヒントが見えてくるかもね。双子パワーが完成したら最後の難関9合目に突入するぞ」