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ボイトレの実例第2話

ボイトレの実例第2話

 

 Noriは今年78歳。

 自称健康オタクの成果は、この年になって十分発揮している。体調の不調は何処にもない。さらにボイトレを趣味にした事で、体内健康に磨きがかかっているように思える。

 ボイトレの第一歩は脱力感だと感じている。その体感に慣れてきた頃からは脱力遊びを楽しんでいる。例えば、下り階段は自由落下で降りてみたり、水面上に寝そべって本を読んでみたりしている。

 脱力君を味方にすると、健康君が友達になりたがるのを実感する。Noriは毎日脱力スクワット100回をルーティーンにしている。脱力運動なので、回数は負担にならない。脱力しても筋肉量は増えてくれるので、スクワット直後は少し筋肉のはりを感じる。高齢者には最適スクワットだ。

 

 さて今日もBincoと所沢駅のドトールでコーヒーをしている。

B「今日って、なんにちの何曜日?」

N「おまえeveryday Sundayだから、曜日の確認必要なのか?」

B「そうね、口癖で聞いてみただけよ。のりの脳みそ狂ってないか試してるのよ。」

N「俺は脳みそにパソコンしまってあるから、忘れる事はあり得ない。」

B「私にはパソコンないけど、ウン十年の知恵がつまってるわ。男女の心ってパソコンにわかるの?」

N 「するどい!そこがパソコンの弱みだ。でもパソコンには学習能力あるから、Bincoが心情を指導してやれば、エロい”AI君”が産声を上げるかもね。」

 

B「ところで、赤ちゃんって、だれに声の出し方習ったの?」

N「いいとこ突いてる。赤ちゃんの声帯は体内ではしっかり閉じている。体内高圧から体外低圧にさらされ、一挙に空気が放出され“おぎゃー”と理想的な自然体第一声が見事に大気を震わせる。

この時点でボイトレの必要は無し。残念ながらその後の生存本能や防衛本能で、どんどん自然体が失われ、発声能力はボイトレをしない限り、元の自然体発声には戻らないんだよね。」

B 「赤ちゃんの産声に感動するのは、自然体のせいなのね。母性本能だけじゃ無いのね。」

N 「その上、赤ちゃんには最高の柔軟性が備わっている。ボイトレは赤ちゃんの無邪気流に習おう。」

B 「この歳で赤ちゃんに教えを請うのは、悔しいわ。」

 

N 「そういえば、おまえ、よちよち歩きの子に視線ロックオンして、釘付けにしてしまうことがよくあるな。チラチラ振り返って、怖いもの見たさでBincoの顔をのぞき込むその子のあどけない表情を楽しんでいるんだろ。その時ついでに、幼児に備わっている好奇心を頂くんだよ。老いては子に従えって言うからな。」

B 「ドトールに幼児が入ってくると、結構うるさいわ。どうして子供の声ってあんなに甲高いのかしら?」

N 「声は背骨の長さに比例した仕組みだから、当然小さい程、キーは高くなり甲高くなるよね。その代わり低

いキーに限界がでてくる。

低音の魅力を持ったちびっ子にはあった事が無い。即ちキーの調整は背骨にある事が、予測できるよね。人の身長は高々2m程だから、低音には限界がある事がわかる。逆に背骨を限りなく小さく呼吸操作をしてやれば、限りなく高いキーで発声可能となる事が予測できるよね。」